2018/09/22

足関節外傷(捻挫, 骨折)のマネジメント 〜受傷機転と圧痛部位, Ottawa Ankle Rules(オタワアンクルルール), 小児成長軟骨板評価, 骨折〜

 

この記事を書いている人 - WRITER -
藤井 達也(ふじい たつや)
    ■■Antaa CommunityManager/医療法人社団翠明会山王病院 整形外科/整形外科専門医/日本医師会認定産業医/関東若手医師フェデレーションSV
    ■■"つながる力で医療を支える"をvisionに活動するアンターで、医師同士のつながりをデザインする仕事をしています。整形外科医としては外来、病棟、手術の中でも特に外来での診断にこだわっています(エコーも修行中)。
    ■■Antaaで一緒に活動してくれる医師医学生募集しています! fujiiあっとまーくantaa.jpまで連絡を!

救急外来でよく出会う足関節外傷(捻挫, 骨折). レントゲンで骨折かどうかはっきりしなかった場合には, どのように対応するのがよいのでしょうか.

この記事は、現場で働く医師同士が相談しあうiOSアプリ “AntaaQA” で実際に行われたやりとりの中からプライマリケア医におすすめの内容を、ご紹介します!

足関節外傷(捻挫, 骨折)のマネジメント 〜受傷機転と圧痛部位,Ottawa Ankle Rules(オタワアンクルルール), 小児成長軟骨板評価, 骨折〜

15歳の野球少年、デッドボールを右足首に受けた。右外果前方に圧痛、軽度の腫脹あり、4歩以上歩行は可能

でレントゲンは添付のものなのですが…どうでしょうか?
カーソルの真横あたりが骨折線かと思ったのですが…とりすぎでしょうか?

救急4年目

条件が厳しいですが外果は骨折は否定的だと思います。成長軟骨板が気になってるんじゃないでしょうか?むしろ内果が気になりました。ただ骨折線としては不自然ですね。

放射線科

ここのラインですよね?

確かに怪しく見えます。ただ対側皮質骨のラインがわからないですね。。こういう時は自分なら臨床症状で考えてます。痛がり方が強い圧痛が著明)なら両斜位を撮影するか、CT撮るかという感じかと思います。健側撮って、このラインがないか確認するのも一案です。

整形外科7年目

そのラインです。レントゲンしか撮れないところなのでCTという選択肢はありませんでしたが、、健側と比べればよかったですね。

救急4年目

骨折はなさそうにみえます。骨折だと痛くて荷重できないことが多いのと、かなり腫れ上がるのですが、どうでしょうか?側面像ってありますか?

藤井 達也

内果は全く痛がらないんです。受傷から6時間経ってますが、腫れはそんなに…という感じでした。技師さんが新人の方で、今みると側面の出来は…でした(^^;;

斜位撮れば良かったですね…

スタスタ歩いてましたし、自転車(代替手段なし)で6kmくらい先の学校に通わなきゃいけないということで、今日のところはテーピングで固定しました。

レントゲンで骨折はっきりしないけど一部怪しいところはあるので(後からはっきりすることもありますので)、おし痛みが増すようならまた受診して下さいとお伝えして帰宅としました。

救急4年目

スタスタ歩けるようなら、大丈夫だと思います!また疼痛増したら再診の指示も出してあれば問題ないかと思います。

疼痛部位に疑わしいラインあると気になりますよね。。すごくわかります(・_・;

藤井 達也

特に1人当直だと、緊張します(^^;;

ありがとうございました!

救急4年目

Dr. Fujiiの “ポイントレクチャー”

ここでは最も多い受傷機転である足関節内反による外傷にフォーカスし、Ottawa Ankle Rulesオタワアンクルルール、成長軟骨版(骨端線/成長線)の考え方、AO/OTAエイオーオーティーエー分類を用いた足関節骨折について解説します。

医療法人社団翠明会山王病院 整形外科  藤井達也 

1. 足関節外傷(捻挫, 骨折)で重要なのは受傷機転と圧痛部位

足関節の外傷を診る時に大事なことは「受傷機転」と「圧痛部位」です。今回は直達外力による外傷でしたが一般的に多い介達外力、特に足関節内反による外傷をメインに解説していきます。

<最も多い受傷機転は内反(1)より作成>

2.Ottawa Ankle Rulesオタワアンクルルールで捻挫か骨折を疑いレントゲンの必要性を考える

正確には足関節だけでなく足部を含めた評価を行うツールで、特に骨折で損傷しやすい箇所の圧痛を重点的に診るものです。

2003年のBMJのReview(2)では小児でも使用できることが確かめられています。感度が高いので、いずれもなければレントゲン撮影の必要性が下がる、というように使用します。

質問に「4歩以上歩行可能」という記載がありましたが、このルールを念頭においたものであったことがわかります。ただし、今回は直達外力による外傷なので文献のinclusion criteriaとは異なる点に注意が必要です。

Ottawa Ankle Rulesオタワアンクルルールの足関節の圧痛部位(2)より作成>

3. 小児では成長軟骨板(骨端線/成長板)の確認のため健側撮影を

小児の骨では成長軟骨板(骨端線/成長板)と二次骨化核が存在します。個人差もありますが、下腿遠位では17歳頃に閉鎖します。

もし骨折線なのか成長軟骨板なのか迷ったら健側の撮影を同じように行います。

4. 頻度の高い足関節骨折はAOエイオー-typeB

骨折の分類としてAO/OTAエイオーオーティーエー分類がよく用いられますが、その中でもtypeBのものが多いです。

従ってOttawa Ankle Rulesオタワアンクルルールにあるように外果、内果の後方の圧痛を確認する必要があります。ポイントは後方の圧痛を確認することです。前方は前距腓靭帯の付着部も存在し足関節捻挫でも圧痛が強くでる部位だからです。

<足関節骨折のAO分類の一部_文献(4)より引用>

AOエイオー分類とは

AOエイオー/アーオー分類は頭部以外の全ての骨折に使える分類です。スイスにある骨折治療の研究グループが作りました。無料で使えるwebページがありますので参考にしてください(アプリもあります)。[リンク] AO Surgery Reference

※AO分類は2018年に改定されましたがこの記事の内容に大きな変更はありません。
・発表されたJOTの文献がAOTraumaにて公開されています。
・発表された新しいリーフレット

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5. 参考文献

  1. Med Clin North Am. 2014 Mar;98(2):313-29.
  2. BMJ. 2003 Feb 22;326(7386):417-9.
  3. JAMA. 1994 Mar 16;271(11):827-32.
  4. J Orthop Trauma. 2007 Nov-Dec;21(10 Suppl):S1-133.
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藤井 達也(ふじい たつや)
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