NOC (New Orleans Criteria) 頭部外傷患者での頭部CT〜項目・適応・注意点・NOCとの比較〜

 

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NOC 基準項目

下記項目に1つでも該当する場合は精査が必要と考え、頭部CTを考慮。

  • 頭痛
  • 嘔吐
  • 年齢 > 60歳
  • アルコール or 薬物の中毒状態(intoxication)
  • 前向性健忘の持続(短期間の記憶の欠損)
  • 鎖骨よりも上部にある明らかな外傷
  • 痙攣

※適応条件があります。下記目次をご覧ください

今まさに頭部外傷の患者さんを診ているのではないでしょうか。目の前の患者さんに頭部CT撮影が必要性かどうか判断に迷う場面も多いと思います。

この記事は、N Engl J Med. 2000の文献をもとに、その臨床判断の手助けとなるClinical Rulesの1つである ”NOCNew Orleans Criteria”を紹介します。

NOCを用いることにより、どのような場合に頭部CT撮影の必要性があるかを判断することができ、不必要な頭部CT撮影を控えることができます。

例えば、軽症頭部外傷で来院する患者の12-25%を安全に頭部CT施行から除外することができると言われています。

NOCNew Orleans Criteriaに基づいた判断の結果、頭蓋内外傷の存在を考え、頭部CTを撮影するのはどのような場合でなのでしょうか?

1. 使用する場面〜適応・除外〜

適応対象

下記項目全てに該当する者

  • 頭部外傷
  • LOC(Loss of Consciousness: 意識喪失)
  • 神経学的所見に異常なし

適応対象となった患者に対しては次項以降で触れるCriteriaに沿って頭蓋内外傷の存在の有無を判断していきます。

2. 基準項目

下記項目に1つでも該当する場合は精査が必要と考え、頭部CTを考慮。

基準項目

  • 頭痛
  • 嘔吐
  • 年齢 > 60歳
  • アルコール or 薬物の中毒状態(intoxication)
  • 前向性健忘の持続(短期間の記憶の欠損)
  • 鎖骨よりも上部にある明らかな外傷
  • 痙攣

3. CCHRとNOCの比較

NOCと同様に不必要な頭部CT撮影を控えるためのClinical Ruleで”CCHRCanadian CT Head Rule”があります。

ここではCCHRとNOCを比較した研究結果についてまとめます。

  • NOCとCCHRのどちらが優れているかは議論がある
    →2つの検証試験(validation trial)ではCCHR, NOC両方で感度100%であった。
    →1つの検証試験においては、NOCの方が優れていた(NOC vs CCHR: 99.4% vs 87.2% )
    →1つの検証試験においては、CCHRの方が優れていた(NOC vs CCHR: 86% vs 95% )
  • 全ての研究において、NOCはCCHRよりも特異度は低いことがわかっている(NOC vs CCHR: 12.7% vs 50.6, 5.6% vs 39.7%, 10.2% vs 36.3%, 28% vs 65%)
  • 他にもNOCとCCHRを使用した際の、評価者間の一致性という問題も存在する。NOCとCCHRそれぞれの評価の一致性を見るとκ値が NOC vs CCHR で0.47 vs 0.85 という結果が出ている。
  • CTが必要ではないとルールを誤って解釈してしまった例はNOCで5.5%、CCHRで4.0%であった。

4. 追記事項〜注意点〜

  • いくつかの前向き研究において、脳外科的介入を必要とする頭蓋内外傷に対してNOCは100%の感度を示した。
  • NOCの作成者の意図は、NOCを用いることによって脳外科的介入を必要とするものに限らず、全ての頭蓋内外傷を見つけ出すことであった。
  • 原著論文での検証試験と他の2つの試験(trial)では感度は99.4-100%であった。
  • 近年行われたチュニジアでの試験では、NOCは脳外科的介入を必要とする患者および臨床的に重要な頭部外傷の患者に対して、感度は82-86%程度であった。これにより、状況設定(clinical setting)によってはNOCはあまり有効ではないかもしれないと言える。
  • NOCはCCHRと比較すると簡易的だが、「鎖骨よりも上部にある外傷」のように曖昧な基準が存在するため、CCHRより特異度は低い
  • 原著論文においてNOCは、年齢 > 3歳、24時間以内に軽症頭部外傷を受傷した患者520名を対象とした分析から導かれた。
  • 同研究内で行われたNOCの最初の検証試験はとある米国のレベル I 外傷センター()を訪れた患者909名に対して行われ、感度100%、特異度25%であった。
  • 6.5%の患者が頭蓋内外傷があり(93/1429)、0.4%が脳外科的介入が必要であった(6/1429)
  • その後の研究においてNOCは頭部外傷に関して86-100%の感度を示すことがわかった

 

※レベル I 外傷センター:地域の Trauma System の中核的役割を果たし、3次紹介医療施設としての診療能力が求められる

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5. 参考文献

  1. Haydel MJ., et. al., Indications for computed tomography in patients with minor head injury, N Engl J Med. 2000 Jul 13;343(2):100-5.
  2. Stiell IG., et. al., Comparison of the Canadian CT Head Rule and the New Orleans Criteria in patients with minor head injury, JAMA. 2005 Sep 28;294(12):1511-8.
  3. Smits M., et. al., External validation of the Canadian CT Head Rule and the New Orleans Criteria for CT scanning in patients with minor head injury, JAMA. 2005 Sep 28;294(12):1519-25.
  4. Papa L., et. al., Performance of the Canadian CT Head Rule and the New Orleans Criteria for predicting any traumatic intracranial injury on computed tomography in a United States Level I trauma center., Acad Emerg Med. 2012 Jan;19(1):2-10
  5. Bouida W. et. al., Prediction value of the Canadian CT head rule and the New Orleans criteria for positive head CT scan and acute neurosurgical procedures in minor head trauma: a multicenter external validation study, Ann Emerg Med. 2013 May;61(5):521-7

 

 

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