2018/09/22

末梢静脈路(ルート)のマネジメント〜 下肢より上肢, ルーチン交換は不要, 炎症/感染など必要時の交換を〜

 

この記事を書いている人 - WRITER -
原田拓(はらだ たく)
    ■■昭和大学病院総合診療科 助教 獨協医科大学病院総合診療科 非常勤スタッフ医師
    ■■所属学会:内科学会/プライマリ・ケア連合学会/病院総合診療医学会 東京GIMカンファレンス世話人 関東若手医師フェデレーションSV 内科学会 診断プロセス向上WGメンバー
    ■■色々な会で色々な人に出会い様々な刺激をいただいてます。現在は老年医学,診断プロセス,ノンテクニカルスキルに興味があり,日々プルスウルトラの精神で楽しく過ごしています!!

様々な場面で使われる末梢静脈路. どのくらいの間隔で交換するのでしょうか.

この記事は、現場で働く医師同士が相談しあうiOSアプリ “AntaaQA” で実際に行われたやりとりの中から初期研修医におすすめの内容を、ご紹介します!

末梢静脈路(ルート)のマネジメント〜

下肢より上肢, ルーチン交換は不要, 炎症/感染など必要時の交換を〜

ルートの交換頻度ってどのくらいが適切なのですか??

3日で交換って言われたのですが、どの病院もそうなのでしょうか??

初期研修医1年目

UpToDateの記載には3-4日以上の留置は感染リスクを増大させる可能性があるとされています。個人的な感想ですが3-4日で交換している施設が多いのではないかと思います。

CDCのガイドライン参照すると(Clin Infect Dis 2011; 52: e162–93. )感染のリスクを下げるために72-96時間よりも高頻度に末梢静脈カテーテルを交換する必要はない(1B)

とあり、96時間以上間隔をあけての交換が推奨されているみたいです。

最近の文献的には臨床的に必要な時に交換するので十分でそのほうがコストが抑えられる(Lancet. 2012 Sep 22;380(9847):1066-74.)、72-96h毎に交換するのはあまりエビデンスがない(Cochrane Database Syst Rev. 2015 Aug 14;(8):CD007798. )ということみたいです。

原田 拓

Dr. Haradaの “ポイントレクチャー”

ここでは、末梢静脈路(ルート)のマネジメントとして、ルーチンの交換が不要であり、必要時(炎症、閉塞など)に交換すること、下肢より上肢が適していることをガイドライン等を含めて解説します。

原田 拓 HARADA TAKU
昭和大学病院総合診療科 助教
獨協医科大学病院 総合診療科 非常勤スタッフ医師

結論
  • 72-96時間毎での交換にエビデンスはない
  • 臨床的に必要な時のみにすれば患者の負担やコストの軽減になる
  • シフト変更時に挿入部位を検査し、炎症,閉塞,浸潤などがあれば交換する
個人的な感想ですが3-4日で交換している施設が多いのではないかと思います。その根拠はどのへんなんだろう?ということで調べてみました。

1. ルーチンでの交換は不要?〜末梢静脈路〜

3-4日を超えると感染症のリスクがあがるのでは以前よりいわれており,1991年の前向きの研究では4日を超えて留置すると静脈炎が50%以上あったという報告もあるようです(3)

しかし,その後3日を超えて留置しても合併症の発生率はかわらないのでルーチンでの交換は不要(4)という話がでてきたようです。

2. 下肢より上肢〜カテーテル関連感染症予防ガイドライン〜(1)

  • 下肢より上肢に留置する。下肢に留置した場合はできるだけはやく上肢に交換する。
  • 感染症や静脈炎のリスクを減らすために72-96時間毎に交換する必要はない
  • 末梢カテーテルの交換は臨床的に必要な時に推奨される
  • 静脈炎(熱感,圧痛,紅斑),感染症,機能不全をおこしたら除去する
  • 緊急時など無菌操作の保証がない場合での末梢カテーテル留置をした場合は48時間以内に交換を行う

という記載になっています。
その後の研究でもルーチンでの交換(平均70時間)と臨床判断での交換(平均99時間)で特に合併症は有意差がなかった(5)という報告があります。

3. 炎症、閉塞など臨床的に必要な時に交換〜Cochrane〜

72-96時間毎での交換にエビデンスはないシフト変更時に挿入部位を検査し、炎症,閉塞,浸潤などがあり臨床的に必要な時に交換する方法でよい。その方が患者の負担やコストの軽減になる」といわれています(1.6)

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4. 参考文献

  1. Cochrane Database Syst Rev. 2015 Aug 14;(8):CD007798.
  2. Clin Infect Dis. 2011 May;52(9):e162-93 
  3. Ann Intern Med. 1991;114(10):845.
  4. Arch Intern Med. 1998;158(2):151.
  5. Lancet.2012;380(9847):1066-74 
  6. Cochrane Database Syst Rev. 2013 Apr 30;(4):CD007798
この記事を書いている人 - WRITER -
原田拓(はらだ たく)
    ■■昭和大学病院総合診療科 助教 獨協医科大学病院総合診療科 非常勤スタッフ医師
    ■■所属学会:内科学会/プライマリ・ケア連合学会/病院総合診療医学会 東京GIMカンファレンス世話人 関東若手医師フェデレーションSV 内科学会 診断プロセス向上WGメンバー
    ■■色々な会で色々な人に出会い様々な刺激をいただいてます。現在は老年医学,診断プロセス,ノンテクニカルスキルに興味があり,日々プルスウルトラの精神で楽しく過ごしています!!
 

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